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中村淳彦(著)『女子大生風俗嬢』覚書

中村淳彦(著)『女子大生風俗嬢』を読んだ。

著者は長年、風俗業やアダルトビデオ業界を取材してきて最近現役の女子大学生の

風俗嬢が急増してきたことに疑問を感じ取材を始めたそうだ。

幾つか気づいた点があるので要約してみる

1.学生の家庭環境に問題がある例が多い(最初に登場する女子学生は母親,祖母の介護を強いられている)。今や本人が学費を払うのは当たり前。

2.女子学生のみならず男子学生も、男相手の売り専(同性愛者向けの風俗店)や出張ホストという形で肉体を売る。売り専はいわゆる同性愛者だけではなく、ノンケ(性的指向が異性にのみ向く者)も多い。

3.沖縄では中卒や高校中退で最低賃金付近の670円,大卒の事務か夜の仕事で800円程度である。そのような状況にもかかわらず、「意識高い系」の学生も見受けられる。

4.AV業界に行けるのはトップクラスの女子大生だけである。そのような女子大生は、

風俗業に参入する大学生と異なり金銭面とは異なる理由で業界に入っている。

 

正直言って、「貧困問題」とも絡んでおり暗い内容の話が続いて読むのが嫌になった。

それと同時に、私はなんだかんだ恵まれていたのだなと感じた。私の家庭も特段裕福ではなかったが、少なくとも風俗業に手を出すことも無かった。それに、大学時代も周囲も風俗業界やAV業界で働いているという噂も無かった。大学時代に私の知り合いが風俗業界やAVに出演しているのを噂でも聞いたら、どのような目で見ればよかったのだろうか? 

 

著者は、終身雇用崩壊と学費高騰により“奨学金”(という名の借金)という貧困ビジネス

が流行したのが「女子大生風俗嬢」の増加の原因という私見を述べている。その上で、大学に通っても学費分の投資を回収できない場合「通学制の大学に進学しない」

という方法を自己防衛策として述べている。私も大学進学には懐疑的ではあるが、これほど悲観的な理由で大学進学をすべきでないと述べている著者もあまりいないと思った。

 

 

本書のは、

「日本はもう、壊れていますよ・・・・・・メチャクチャです」

取材が終わって研究室をでるとき、大内教授はそうつぶやいていた。

その言葉が耳から離れない。本当に厳しい境遇に置かれている若者たちに、何とか明るい未来が訪れることを願うばかりだ。

中村淳彦(著)『女子大生風俗嬢』おわりに p219

 という救いのない言葉で締めくくられている。繰り返すが、私は大学時代に身近に風俗嬢やAV女優が居なかった。それは周囲も なんだかんだ本書の学生より恵まれていたのか、それとも私の視野が狭かったのか分からない。どちらにせよ、本書は暗い現実であった。 (1086字)

 

 

 

女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書)

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