今回は、アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」も折り返し地点を過ぎたということで黒澤ダイヤ,松浦果南に引き続いてについて考察してみます。
過去の考察
松浦果南の振り返りと考察~アニメ版果南は本当に千歌と幼馴染なのか~
今回、梨子を考察する理由はまたも例によってラブライブ!サンシャイン!!のガチャガチャで当たったからです。あとこちらがメインの理由ですが、10話「シャイ煮始めました」で主人公である千歌との関係性(ちかりこ)を見て考察したいと思ったのもあります。
お品書き
1.基本プロフィール
学年 2年 身長 160cm
スリーサイズ B80/W58/H82 血液型 A型
誕生日 9月19日 星座 乙女座
好きな食べ物 ゆでたまご・サンドイッチ 嫌いな食べ物 ピーマン
好きな言葉 心の目で見なければものごとはよく見えない、肝心なことはいつも目で見えないんだ CV 逢田梨香子
2. 第1印象
梨子については、1st singleでWセンターを務めたことや紹介順から高海千歌の相棒ポジションと言えるでしょうか。前作のポジションで当てはめれば主人公の穂乃果の幼馴染である海未なのかなと最初は思いました。
ただ良く人物像を見ていくと海未とはかなり異なり、むしろ南ことりに近いポジションであると分かってきました。以下は海未と梨子の違いです。
◎海未は穂乃果(以外もですが)呼び捨てで呼ぶが、梨子は千歌を「ちゃん」付けで呼ぶ(後輩はもちろん犬にまで)≒ことりも穂乃果を「穂乃果ちゃん」と「ちゃん」付けで呼んでいた
◎海未は日舞や弓道,剣道などを嗜み体育会系であるが、梨子は1st single自己紹介では美術部,1st PVやアニメではピアノと文化系である≒ことりも特技が裁縫で趣味がお菓子作りと文化系である
◎海未は穂乃果とおなかの中にいるときからの知り合い(南ことりsid p28)であるのに対し、梨子は高校2年生から転入の新参者≒ことりは小学校に入学する前に別の町から引っ越してきた新参者(ことりsid p23)
最後のことりはsidだけなので少し苦し紛れですが、海未に当たるはずなのに内面違うな~というのが正直な印象でした。
後思ったのが千歌とWセンターということで、他の7人より立ち位置的に副主人公orW主人公制なのかなとも思いました。1st single PVも梨子の登場時間は優遇されていますし。
1st PV「君のこころは輝いてるかい?」
3.印象の変化
梨子=?(しいて言えばことり?)・・・最初は海未ポジションかと思いましたが全然違いました。インドア派なイメージからことりがあえて言えば一番近い気がします。音ノ木坂からの転校生という立ち位置なので、前作と今作をつなぐカギになりうる最重要なポジションと思います(逆に千歌は展開次第では穂乃果の劣化コピーで終わります。)
これがアニメ化前かつ2nd 直前の梨子への印象です。2nd のシングルでも千歌と親しかったし、ドラマCDパートでも常識人であった印象で次のように書きました。
梨子は逆にカエルやイルカに驚いているシーンが目立ちました。また『あわしまマリンパーク』は初めてということも割り引いても、自分の意思が弱いところがありました。
梨子は趣味や発言からイメージできる通りの内向的な性格でしょうか。
という訳で、アニメ化までの桜内梨子の評価としては初期設定のように内向的で地味であると言う印象でした。
4.アニメ桜内梨子の考察
ア:アニメ化で改変された部分
このように「地味」扱いされてきた桜内梨子ですが、アニメ版では地味でことり的な要素は影を潜めることになります。
これは1話で梨子がいきなり4月の内浦の海に飛び込もうとするシーンです。この段階では梨子は浦の星に転校する前なので千歌とは面識はありません。千歌は梨子を見て「死んじゃう」と止めにかかりましたが、このシーンを見たアニメ化前からのサンシャイナーは「地味」である梨子がと驚いたに違いありません。
さらに、犬が苦手という設定が加わっており、アニメオリジナルのペットとして千歌の犬「しいたけ」を避けるシーンが数多く見られます。
この一連のギャグシーンは評判が悪く、ネット上で批判がされました。私も過去の記事で、梨子の犬を避けるシーンは過去にも批判しました。
個人的には梨子の犬関連を筆頭にギャグ描写が鼻に付きます。面白くもないし、なによりもわずか13話しかないアニメでは余計なことをしている暇はありません。
犬(主にしいたけ)嫌いなシーンは後の伏線であるかもしれませんが、犬がスクールアイドル活動とどう関係あるのかさっぱり分かりません。関係あるにせよ、過度のギャグ描写は不快ですしさしてシナリオの根幹部分に関わるとは思えません。犬嫌いという設定は不要であると感じます。
更に鼻に付く犬ギャグが影を潜めた7話での「壁クイ」同人を見るシーンです。このシーンはレズを連想させるシーンで、元々顔がレズと半ばネタでレズ扱いされていたことから犬シーン程は批判されていません。私もこのシーン自体に不快感を感じることは有りませんでしたが、この手のギャグシーンは本編の13話という貴重な尺に必要か?と思います。これが番外編なら「壁クイ」同人梨子のキャラ付けとして問題なかったのですが・・・
後は女性ファン的にあらかさまな描写を入れるのはどうかと思います。一部の美少女動物園アニメのように端から女性視聴者はいないという想定ならともかく、ラブライブ!は女性や小学生(前作はNHKで放送)も見る可能性があるのでその辺で評価を落としたくないところです。
ピアノに関する描写はアニメオリジナルではありません。1st single PVにもピアノ演奏シーンは有りますし、基本設定も特技としてピアノが挙げられています。
本考察は、アニメ10話「シャイ煮はじめました」の内容に触れます。未視聴者はご注意ください。
イ:「ちかりこ」の関係性
アニメ版梨子のキーワードは「ちかりこ」と「ピアノ」の2つです。2つは独立しているよう結びついており、梨子のシナリオひいてはサンシャイン!!の核心部になっています。キーワードは2つありますが、長くなるので今回は「ちかりこ」に絞って考察したいと思います。しかも全部は追っていきません。主に1話と10話中心に考察したいと思います。単純に「ちかりこ」でどのような絡みがあったか知りたいなら、ちかりこ (ちかりこ)とは【ピクシブ百科事典】に詳しくありますのでご覧ください。
A.第一話の出会い
梨子が音の木坂高校の制服を脱ぎいきなり水着になって4月の海に飛び込もうとする衝撃的なこのシーンが、梨子と千歌の出会いです。この時はまさかお互い「ちかりこ」という関係になるとは思わなかったでしょう。
急に飛び込もうとした梨子を止めた千歌は、梨子が東京の高校に通っていることを知るやスクールアイドルのあれこれを喋り出します。予告映像でも流れていμ’s「START:DASH!」が流れたのはこのシーンです。
Love Live!【START:DASH!】μ's ver 9人
この一連のシーンで千歌は梨子に対して、渡辺曜には話せないスクールアイドルとは関係ない重要なことを話します。それは自分の「普通コンプレックス」です。
曜には飛び込み等で周囲から注目されるものの、千歌は普通なので注目されず曜を取り巻くモブといった感じでしょうか。そのような生活が高2までつづいて、「普通星人」を通り越し「普通怪人ちかちー」となってしまうぞと自虐交じりに梨子に言いました。普通コンプレックスを離したこのシーンが「ちかりこ」の関係性が最初のきっかけだったのです。そのことについて次に項目で掘り下げていきます。
B.千歌が梨子に普通コンプレックスを話した理由とその影響
千歌が普通コンプレックスを梨子に話したのはシナリオの大きな分岐点であったと言えるでしょう。そう、長い付き合いのはずの曜には千歌は普通コンプレックスを話せていなかったのです。無理もありません、上のロリ曜と千歌の画像の通り曜こそが普通コンプレックスの原因なのですから(曜には自覚なんてないでしょうが)。
そして、千歌が(曜では無く)普通コンプレックスを梨子に話したのは
曜に普通コンプレックスを話せていたら(≒曜以外が普通コンプレックスの要因である場合)、千歌は初対面の梨子にわざわざ「普通星人」を通り越し「普通怪人ちかちー」となってしまうなんて言い出すことは無かったはずです。とはいえ1話終盤でオリジナル曲の政策が必要であるというダイヤからの課題の提示は変わらないので、梨子は作曲要因として勧誘はしていたでしょう。ですがあくまで作曲要因なので、アニメ版世界で「ちかりこ」と呼ばれる関係性は薄く梨子の加入は遅れていたと思われます(善子の後ぐらいorラスト)。アニメ版で制作サイドが普通コンプレックスをという要素を取り入れなかった場合は、梨子が下のシーンのように千歌と仲良くなる描写は起き得ないので1st PVのように梨子の代わりに果南が初期メンバーという可能性もあり得たでしょうか。
曜に関しても千歌が普通コンプレックスを話せていた場合、このシーンで8話の東京でのライブ後に千歌が無理して振る舞っているのにも気付けたはずです。その場合はアニメ版で「ちかよう」が盤石になっていて、曜が闇落ち等とネットで騒がれることは無かったのでしょうか。
まあ、『曜のせいで普通コンプレックス』など本人の前で話せと言うのは出来ない話ですが。それをやったら、人間関係が壊れてもおかしくないですし。きっと11話ではそのツケが来る話なのでしょうか。
では、項目の「千歌が梨子に普通コンプレックスを話した理由」なのですがその理由は単純明快です。千歌が梨子と初対面で、千歌は梨子が浦の星に転校してくることすら知らなかったからです(お互いの名前すら知りません)。コンプレックスを話してもそれっきり再開しないなら後腐れないので、スクールアイドルのことを話している成り行きで普通コンプレックスを話したのでしょう。他にアニメ開始までで千歌の知り合いと思わしきのは、「よいつむトリオ」or「松浦果南」です。ただ、「よいつむトリオ」は「ヒフミトリオ」以上に描写が少なく他愛のない話はできても普通コンプレックスを話せるほど親しい友人と言うには無理があるでしょう。
普通コンプレックスを話せそうなのは、幼馴染である「松浦果南」ただ1人です。果南なら年齢も1つ上なので、同級生に話すよりは曜に普通コンプレックスが広がる可能性は低そうですしすぐベラベラ喋りそうなタイプでもなさそうです。最も果南に普通コンプレックスを話していても、ある程度普通コンプレックス問題は千歌の内面では解決できても原因の張本人の曜は普通コンプレックスに気づかないので完全な解決には至らないでしょう。曜本人が自分が原因で千歌が普通コンプレックスに陥っているのに気づかないかぎり、東京でのライブ後に千歌が無理して振る舞っているのに気づかず史実の8話と同じ展開でしょうか。さらに梨子が千歌と親しくならなければ、以下のように千歌が海に朝っぱらから飛び出しても追いかけることもなかったかもしれません。その場合、8話で千歌が本音を見せることなく・・となりAqoursはわかだまりを残したまま活動し、先代Aqours(3年生組が2年前に活動)同様空中分解でしょうか。
まあ、それについても果南が千歌と曜を呼び出して互いに本音をぶつけ合わせていたら万事解決ですが。しかし鞠莉の留学騒動で見解の相違でAqoursを空中分解させ、9話まで鞠莉と険悪な関係に勝手に陥っていた果南にそれができるか疑問ですが。
以上のことから、千歌は梨子にしか普通コンプレックスを話せなかったでしょう。
C.8話の描写
そうして、千歌と梨子は千歌が普通コンプレックスを話したことを最初のきっかけに梨子もピアノへのトラウマを話すことになり親しくなります。つまりお互いのトラウマ・コンプレックスという弱いところを話した関係になったのです。
そのシーンが積み重なり、梨子に千歌が千歌が初めて「悔しい」と本音を吐きます。梨子はそれを聞いて泣きながら「やっと素直になれたね」と受け入れ抱きとめるこのシーンに至るのです。
アニメ開始時は千歌の一番の友人は渡辺曜でしたが、ここで桜内梨子に変わったと明確に言える場面です。そして本アニメの本筋(少なくとも1期)が「ちかりこ」ルートで行くと確定した場面でもあります。そのとき、元一番の友人の曜は周りで見守っていることしかできませんでした。
さらに「ちかりこ」の掘り下げは10話で行われることになります。
D.10話描写
10話は表面的にはギャグ回と思わせて「ちかりこ」回でした。実は「ちかりこ」の描写については10話感想記事で殆ど書いてしまっています。
なので後半のこのシーンについての考察だけします。
10話終盤で千歌は梨子の「海に還るもの」の演奏を聴き、梨子にピアノの件でついに自分の思いを伝えます。
千歌 この町や学校やみんなが大切なものなのは分かるよ。
私も同じだもん。でもね、梨子ちゃんにとってピアノは同じくらい大切なものだったんじゃないの? その気持ちに答えを出してあげて? 私待っているから。どこにも行かないって。ここでみんなと一緒に待っているって、約束するから・・だから・・
梨子抱きつく
梨子 ホント、変な人千歌と梨子手を取って
梨子 大好きだよ
「 大好きだよ」が独り歩きし(7話の壁クイ同人シーンのせいもあり)、梨子がレズ扱いですが単純に友情の深さと思います。
梨子ちゃんにとってピアノは同じくらい大切なものだったんじゃないの? その気持ちに答えを出してあげて?
という千歌の言葉は、梨子のピアノへのトラウマを知っていて自分も普通コンプレックスを抱えているからこそ説得力があります。これが曜が同じこと言っても、梨子は表面的には「分かった」みたいに相槌は打ちますが心に響かないでしょう。まして、「 大好きだよ」なんてあり得ないです。10話終了時点では梨子と曜は千歌の友人だから一緒にいるという域を越せてないです。梨子と曜に関しても、千歌と曜同様にお互いの本音をぶつけ合う機会があればよいのですが。それが11~13話の主題でもいいくらいです。どうせラブライブ!の本格的な戦い等は2期に回されるでしょうし。
というわけで、桜内梨子の振り返りと考察前編が終わりました。後編では梨子のピアノ関連や梨子のピアノコンクールと鞠莉やことりの留学の違いについて考察したいと思います(アニメ終了後かもです)。
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