安倍晋三ほど総理大臣、いや政治家にふさわしくない政治家はいないであろう。それにも関わらず4年以上も政権が続いてしまい、特定秘密保護法,安保法案,共謀罪など悪法が通ってしまった。アベノミクスも数値的にはともかく、実質的には成果が見えたとは言いずらく、安倍政権の4年半で国民の生活は悪化したといって良いだろう。
それでも、国民は「他に適任がいない」とかいう思考停止のせいか(これも安倍及び過去の政権下での労働改革が上手くいかず、過酷な労働が1因であろう)安倍政権の支持率は概ね5割前後を維持していたが、共謀罪の横暴な採決や森友・加計学園,与党である自民党議員の数多くの不祥事等の結果、安倍政権の支持率はようやく大幅に低下するようになった(自民党機関誌と安倍に言われた読売新聞でさえ、約3割が支持しないという結果)。
しかし、上のように不支持者が増えたとはいえ読売新聞や産経新聞購読者からはまだまだ支持率が高い状況である。この要因としては以下のように、安倍首相が保守政治家と支持層から見られていることであろう。
しかし、そのような層に告げなくてはならない。安倍晋三は、保守政治家とは最も程遠いということ。それでは、彼はリベラルなのか?もっとあり得ない。彼は単純に、政治家失格であるのだ。
安倍晋三の、首相、それ以前に政治家としての能力の欠如を示した言動を残した記録書を読んだ。その本のタイトルは、「安倍でもわかる政治思想入門」と「安倍でもわかる保守思想入門」の2冊である。
この2冊は安倍晋三が首相を退任し、この世から去っても教訓として残しておくべき本であり、本記事でいくつかの言動について紹介しておくとする。
お品書き
1.「安倍でもわかる政治思想入門」編
ア.もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました。
左翼リベラルが安倍を批判するときに使う常套句が、「安倍は愛国者」「安倍は極右」というものである。
安倍批判のうち、「安倍は売国奴」という言い方をする人には警戒している。
— nbdeor (@nbdeor) 2017年7月3日
極右・国家主義者が政敵を批判する上で好んで使うこの言葉を彼への批判に当てはめることは、より強い愛国者を希望するという意味になるから。
俺はあくまで安倍政権の「愛国路線」を批判していきたい。
残念なことに、安倍が愛国者ではない。安倍が本物の極右,愛国者なら「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました。」という左翼丸出しの言動をするわけはない。この安倍の言動は、安倍が普遍的価値を追求する左翼グローバリストであることを証明しており、左翼・リベラルこそが喜ぶべきなのだ。
ネトウヨ「国境や国籍は大事だ!」
— 名もなき投資家(一般市民)٩(ˊᗜˋ*) (@value_investors) 2015年11月8日
⚫︎NY証券取引所にて
安倍晋三氏「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました(https://t.co/7dFhqp6XWk)」
ネトウヨが訴える政策をことごとく反故にする安倍さん。安倍晋三さんって実はリベラルですよね(^ ^)
ちなみに安倍は著書の中では正反対の保守的な言動をしていた。本書より引用する。
安倍は著書『新しい国へ』でこう述べる。「わたしたちは、国家を離れて無国籍に、は存在できないのだ」「基礎的な単位が必要であり、その単位が国家であることは自明だろう。にもかかわらず、その国家をバイパスするという感性が育まれた背景には、戦後日本が抱えてきた矛盾が大きく影響している」
全くそのとおりだ。しかし、ウォール街の証券取引所に行けば、「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」と平気な顔で正反対の主張をする。頭の中が完全に分裂しているか、ゴーストライターが適当に書いたのか、どちらかであろう。
「安倍でもわかる政治思想入門」適菜収著 p36-37
こんな言動をする議員を総裁とする自民党も既に保守政党ではないといえよう。それどころか、共産党より左であろう。
イ.これまでのお約束と異なる新しい判断。「公約違反ではないか」とのご批判もあることを真摯に受け止めている。
これは、消費税10パーセント引き上げを2017年4月に行う予定だったのを2016年6月1日に再延期を決めた件についての言動である。
元々、消費税10パーセント引き上げは
当初2015年10月に予定されていた10%への引き上げは、2014年11月に延期が発表されたが、このとき安倍はこう言っていた。「(延期後に)さらに延期するのではないかといった声がある。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言します。」「安倍でもわかる政治思想入門」適菜収著 p136-137
とあり得ないと発言していた。この発言は、反故にされたがその時に出てきたのが「新しい判断」というマジックワードである。この言葉は、約束を反故にするときに非常に便利な言葉である。ただし、安倍晋三が道徳教育に向かないことは確かであろう。
また、いくら便利とは言え「新しい判断」という言葉を多用すると、
2.「安倍でもわかる保守思想入門」編
ア.民進党の皆さんだとは一言も言っていない。訂正でんでんという指摘は全く当たりません。
「云々」が読めなかったわけで、要するに日本語に対する愛がない。「安倍でもわかる保守思想入門」p35
問題点としては、この一言に集約される。ちなみに「云々」の読み方は、もちろん「でんでん」ではなく「うんぬん」である。「でんでん」とは「電気電子工学科」の略称が最も使われる用法であろう。
イ.わが党においては(1955年の)結党以来、強行採決をしようと考えたことはない。
3.まとめ
といった、安倍晋三の反知性的かつ左翼的な言動が数多く掲載されているので、安倍晋三という首相を知るのにはお勧めである。安倍信者には見たくない本であろうが…
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