北海道に限らず、路線名と実態が合っていないのですよね。
笹史(@sasashi1992)です。
宗谷本線・石北本線・根室本線と石勝線に引き続き鉄道改良計画として、北海道の中央部を走る富良野線および滝川から新得までの根室本線の改良計画について練っていきたいと思います。ここら辺は、特急も走らない区間であり黒字は正直無理ですが上手く工夫すれば地方交通のお役には立てるはずです。
お品書き
1.現状分析
今回は、富良野線と根室本線に分けて現状分析を行いたいと思います
ア.富良野線
富良野線は、上図の輸送密度だけ見ますと黄色部の単独では維持困難な路線の中では一番数値が高く維持困難な路線の中ではマシな方であると言えます。他のJRや中小地鉄でも1477人を下回る路線は幾らでもあり、JR北海道でなければ廃止が云々という話題は即時には出ないと思われます。
とはいえ、輸送密度2000人以下ですと国鉄末期の特定地方交通線で第2次特定地方交通線に指定されるので全く望ましい数値ではありません。人口が北海道では札幌一極集中&減少する中何とか輸送密度を現状維持を以上に保つ必要がありますね。
ここでダイヤを見てみますと、
旭川~美瑛の間は、1時間に1本とそれなりの運行本数であります。一方、美瑛~富良野間では、朝・夕方ラッシュを除いて2時間に1本と少ない上、西中・鹿討・学田は通過する列車も一部ございます。
ここで利用者から現状分析しますと、
先ほど通過列車があると書きました3駅のうち鹿討・学田は利用者数が10人以下と極端に少ないため通過列車があるのも妥当で、下図では利用者平均が鹿討で1.3人,鹿田で0人なので廃止でも良いくらいです。ただ、西中は45人と利用者は少ないながらもいるので廃止や通過列車は設けない方が良いと思います。美瑛の乗降客が約1000人と区間列車の存在することも十分に理解できる大きな駅であることが分かります。
また、中富良野・上富良野もそこそこ利用者がおり中富良野町・上富良野町の代表駅であることが分かります。
イ.根室本線(滝川~新得)
冒頭の図の輸送密度を見ますと、滝川~富良野は488と宗谷線の名寄以北や根室本線の花咲線区間の釧路~根室より多いものの富良野~新得間は輸送密度が200人以下とバス転換すべきとされる赤字部の留萌本線や札沼線末端部と同じような状況です。
利用客を見てみますと、滝川~富良野に関しては芦別市,赤平市という小都市の代表駅である赤平・芦別が300人代乗車しており2014年の輸送密度も460人とまだ利用者がいることが分かります。ただ、営業係数が953と100円稼ぐのに953円必要なのでコスト的には全く問題外で黒字転換は不可能でしょう。
しかし、バス転換すべきとされる富良野~新得は最高で幾寅駅の乗降客が116人と悲惨の一言で営業係数も1591と鉄道存続論者の私でも擁護不能な数字であります。正直JR北海道の提案通りバス転換すべきと言いたいところではありますが、この区間を廃止すると旭川から帯広・釧路などの道東の都市に鉄路で行くのが石北本線・釧網線を使うことになり遠回りとなります。交通路学的には、駅は全廃しても旭川から帯広・釧路などの道東の都市に鉄路で行くルートだけは必要となりますね。
ダイヤを分析すると、2016年8月の台風の影響(2016年12月23日)でいまだに東鹿越~落合間が復旧していないことが分かります。それを除いても、富良野以遠は4往復ともはや利用したくてもできないダイヤであると言えます。
東鹿越~新得は未だに復旧のめどが復旧のめどが立たないそうですが、台風を口実にこのまま廃止される可能性が高いでしょう。
8月の台風10号によって複数箇所が被災・寸断したJR根室線の東鹿越―新得間(41.5キロメートル)について、北海道旅客鉄道(JR北海道)は13日、鉄路による復旧時期を決めていないことを明らかにした。同区間が含まれる根室線の富良野―新得間は同社で4番目に利用者が少ない線区。台風被害による運休が存廃の議論に発展する可能性もある。
同日、島田修社長が記者会見で明らかにした。東鹿越―新得間は落合駅周辺の地域の被害が甚大で、同駅ではレールが土砂の下に埋没。トンネルや橋梁も土砂と流木で使えなくなっている。復旧工事に着手できるのは早くても来春以降になる見通し。
島田社長は鉄路での復旧を前提としているのかとの質問に対し「費用が見積もられていないことも含め、どうあるべきかを判断しなければならない」と述べ、鉄路による復旧については明言を避けた。
JR北海道は輸送密度(1キロメートルあたりの1日の平均輸送人員)が500人未満の線区に関して、沿線自治体と今秋にも協議を始めたい考え。台風被害からの復旧を優先させるため、島田社長は具体的な線区の公表は「いましばらく時間が必要」としたものの、富良野―新得間の輸送密度も500人を下回っている。
また、今回の考察とは関係ありませんが日高本線も台風10号の影響で不通のままですがこのまま廃止される公算が大きいでしょう。
参考記事:日高本線・鵡川~様似間の復旧を断念 JR北海道、地元と協議へ | 乗りものニュース
根室本線の富良野~新得間は2018年6月17日にJR北海道から国の経営支援の対象外≒廃止という通告がされました。それに対しては、このような意見も出ています。
東鹿越〜新得間は正直どうにかならなかったものかと考えてしまう。
— れんこんじじい (@renkonjijii) June 17, 2018
確か、南富良野町が、東鹿越駅の廃止予定を知った時に「幾寅駅と根室本線さえ残してくれるのなら仕方ない。」という旨の、割と協力的なコメントを発表した矢先での災害だったから、はがゆさが残るなぁ…
幾寅駅残して後廃止でも良いと思いますけどね。留萌線や札沼線末端区間と異なり、交通路学的には残すべき路線ですから。
2.現状改善計画
ア.富良野線
現行が18駅で、極端に利用者数の少ない駅に該当する鹿討・学田を廃止して代わりに旭川~神楽岡に上川神社駅を新設して旭川近郊の利用を促す形にしました。
赤丸部が上川神社駅新設の想定場所です。
元ネタはコチラの上川神社前からどうぞ勝手に新駅設置/JR - chakuwiki
ダイヤは普通列車は現行通りで、急行「狩勝」を旭川~帯広まで新設することで富良野線の重要駅を速達で結ぶ役割と新生根室本線(道東本線)の廃止された新得~帯広間の普通の代替を担います。
イ.根室本線(滝川~新得)
この路線は、滝川~富良野は駅を廃止などで合理化して存続させます。しかし、富良野~新得は乗客が少なすぎるので一部区間を廃止してルート変更します。
具体的には、金山から新得の間は不通の東鹿越から新得を含めて復旧せずに廃止して金山(南富良野に改称)から道東本線の占冠まで単線非電化で新線を引きます。新線ルートは後述しますが、湯の沢温泉の利用を見込んで胆振湯の沢を新設してみることにします。滝川~富良野では島ノ下・野花南・東滝川を廃止する代わりに、快速を廃止し普通列車に統一します。駅を削減したのでその分速達になると思われます。
また、重要なこととして根室本線の滝川~金山(南富良野)と新線区間は滝川線に改称し、幹線から地方交通線に格下げします。
ダイヤを見てみますと、
と下図の現行ダイヤと比較して、滝川~富良野で4往復,富良野以遠では5往復増発しました。
金山から占冠のルート変更に関しては、以下のpixivよりrigstさんの改正鉄道敷設法別表第134号の金山から占冠を流用してルート変更しました。ただ、胆振静岡は利用者が見込めないので建設しません。
まとめ
これまで、
~廃止の危機にあるJR北海道の改造計画~根室本線(新得~根室)・石勝線~
と地方幹線の改良に対して、今回は特急の走らない完全なローカル線の改造案を計画しました。中々、実地を歩かずに計画を立てるのは大変で批判もあるでしょう。川島令三氏の凄さが改めて身に沁みます。