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「五日市憲法」(新井勝紘)感想

新井勝紘著の五日市憲法 (岩波新書)を購入したので感想を書いていきたいと思います。五日市憲法そのものの知識の増強のために購入した本ですが、自由民権運動から民衆による憲法制定を当時の時代背景や著者である新井氏の研究者としての苦闘?が知れていろんな意味で期待は裏切られましたね。

 

最近政権側から提唱されている、憲法改正について考えたい方は購入推奨です。憲法改正については幾つか著書を読んでいるので本書も含めて数記事に渡って取り上げる予定ですが、本記事ではあくまで本の感想が中心なのでそこまで踏み込みません。

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お品書き

「開かずの蔵」での出会い 

冒頭にも書きましたが五日市憲法そのもの(憲法としての特性,評価等)を知るだけに購入するならば、他の本を推奨します。本書で「五日市憲法」の中身に触れているのは、第2章「五日市憲法とは何か」だけです。その他の章は「五日市憲法」が制定された時代背景や「五日市憲法」を書いた筆者とされる千葉卓三郎という人物の考察に費やされているからです。

 

本書の醍醐味としては、第1章で卒業研究の歴史調査の一環で「開かずの蔵」(正式には深沢家の土蔵)での後に「五日市憲法」と呼ばれる1つの文章資料との出会いの場面です。

 

一群の史料は結社の規則だけで終わらなかった。一番下に和紙を綴った墨書史料があった。表に「日本帝国憲法」と記してある。「日本帝国憲法って何だ?」。聞いたこともない名前に、私は戸惑った。綴りを手にすると、ところどころ虫食い箇所がある。ごくごく薄い和紙なので、てっきり大日本帝国憲法の「大」の文字が虫をに食われてしまったのだろうと思った。おおかた、日本で初めて発布された憲法に興味をもった人が、その条文を1字1字書き写したものではないか。土蔵独特の臭いが漂う、薄暗い二階の一隅で、私はそんな風に考えた。ところが、それはまさに、私が「五日市憲法」に始めて対面した瞬間だったのである。「五日市憲法」p17-18

 この後、半世紀に渡って著者は「五日市憲法」に関する研究ををライフワークにしていくわけできっかけってどこに転がっているかどうかわからないなという感想を持ちましたね…

(この後も後日追記していきます)

 

総評

 「五日市憲法」そのものというよりは、その研究と関係した自由民権運動における私擬憲法についてや 「五日市憲法」をかいた千葉卓三郎という人物像がメインとなる本書です。「五日市憲法」については2章で考察されていますが再読して、理解を深めて記事として書くと共に他の私擬憲法の本についても読んでいきたいと思います。